サムライメンバー大久保裕貴外野手がNBCへ参加!!

Lawrence-Dumont Stadium

1935年に始まり今年で77回を数えるNational Baseball Congressワールドシリーズが7月30日に開幕した。南カリフォルニアからはWestern Baseball Association所属のSan Diego Waves、San Diego Forceの2チームがトーナメントを勝ち抜き代表に選ばれた。

 

National Baseball Congressは毎年カンザス州ウィチタにあるLawrence-Dumont Stadiumで行われる。2011年8月現在で全米計21リーグがNBCに所属し、各トーナメントを勝ち抜いた計42チームがダブルエリミネーション(2敗するとトーナメント排除)方式で7月31日から8月13日の2週間を戦い抜く。わずか14日間で計83試合を消化する強攻スケジュールである。

 

夏のカンザスは気温が100度(38℃)を超えることも珍しくなく、トーナメント開幕日も最高気温40℃を記録した。熱気で煮えたぎるようなフィールドを眺めているとサンディエゴの暑さなどかわいいもののように思われる。

大久保裕貴

 

今期San Diego Forceはチーム強化の為サンディエゴオールスターとも言えるチーム体制を整えた、ワールドシリーズで勝ち残る為、リーグ内から僅かだが強化選手を追加した。その中にSAMURAI Baseball teamの誇る外野手、Merced College野球部所属の大久保裕貴が選ばれたのだった。

 

彼の持ち味はなんと言っても、走・攻・守全てにおいてアベレージ以上のクオリティーを見せるその万能ぶりである。

 

今夏サムライの選手たちがWestern Baseball Associationに与えた影響は大きかった。その困難な状況を打ち砕くチーム力、各個人の質の高い技術を魅せつけたのみならず、アメリカ野球の根底を支えるローカルリーグの国際化、システム改正等の面でもそのかつてない挑戦は高く評価されている。そんなサムライの中でも大久保の状況に捕らわれない強靭な精神力、安定した走・攻・守ぶりは際立っていた。

 

 

日本人留学生の中でこのNBCの大舞台に立った選手は77年を誇るNBC史上彼一人であると言われている。

朝から夜中まで試合は行われ、早朝であっても夜中であっても観客の熱は冷めない。応援にスタジアムが揺れる。フリーウェイまで聞こえる興奮したアナウンス、咆哮にも似た歓声、怒号。全く無名の大学生や他アマチュア選手たちが繰り広げる試合にこれほどの観客が興奮し、歓喜している。間違いなくここは世界アマチュア野球”最高峰”なのだと実感した。将来への期待、チームへの責任、自身への挑戦、全てを背負いこの花の舞台に立つことができる選手の気持ちを思うと、見ているこちらが武者震いしてしまう程だった。

 

San Diego Wavesは8月1日、San Diego Forceは同2日の初戦をそれぞれ勝ち抜き、勝利チーム枠の第2戦へと駒を進めた。San Diego Wavesは8月4日、Forceは翌5日に2回戦が行われる。

 

南カリフォルニア代表が全米でどこまで勝ち抜くことができるか、発の日本人留学生参加者となった大久保がどこまでその存在感を示すことができるのか期待したい。

「(試合を)見るのは好きじゃないので。やっぱり自分が出ないと。」

 

San Diego ForceのNBCトーナメント第一戦、ネブラスカ州代表Omaha Diamond Spiritとの対戦では大久保はスターティングメンバーに上がらなかった。ベンチからチームメイトの活躍を見ながら、この大舞台に立ちたい気持ちを抑えられなかった。

 

全米中にある何百ものチームに所属する数千人のセミプロ選手のトップが集う同ワールドシリーズは、MLB全球団、独立リーグ各球団、大学、その他国内外を問わず優秀な選手を求めスカウトが一斉にやってくる。過去にもMark Teixeira、Tim Lincecum、Trevor Hoffman、Barry Bonds、Mark McGwire等々数多くの有名スター選手を輩出している。

Western Baseball Associationで南カリフォルニアを拠点に活動をしている選手も、このワールドシリーズに出場しスカウトの目に留まることを夢見ている。

大久保は2010年のWBAサマーリーグにもSan Diego Mavericksの選手として参加している。しかし昨年は試合に出られる機械は限られていた。

 

「 (マーベリックスは)チーム全員を試合に出す方針だったので。全試合の半分以下しか出られなかったです。サムライでは毎試合出させてもらうことができて良かった。すごく経験を積むことができました。 」

 

サムライではチームの雰囲気に救われることが多かったという。

 

「 先輩がすごく良かったです。

技術だけじゃなく、人との付き合い方とか、いろいろ勉強になりました。同部屋だった井上さんには本当に良くしてもらった。人間的にすごく成長することができました。野球をする環境を常に良いものに整えてくれました。あんな環境でずっと(野球を)やれたら、誰でも良くなると思いますよ。今までで一番良い夏を過ごすことができました。大塚コーチから貰ったアドバイスはすごく自信に繋がったし、もっとやってやろうという気持ちになりました。 」

大久保は今年21歳になる。1年前にアメリカにやって来て、カレッジでは二年生になり、回りは年下の選手ばかりになった。留学生だから、アメリカの野球になれていないから、といった甘えや余裕はとうの昔に言い訳にならなくなった。

 

「 (サマーリーグにさんかしたことで、現在所属中の)マーセッドカレッジの野球部のレベルの高さが分かりました。マーセッドで前シーズンは中々打てずに苦しい思いもしたし、何故か怠け者に見られてしまって誤解を受けることもあった。でも、今この(ワールドシリーズの)場に来て、そういうことが全部なければ今の自分はないと実感しています。 」

 

そうしてマーセッドカレッジで約1年、サマーリーグを過去に2度経験し、今回強化選手としてSan Diego Force監督より直々に指名を受けた。

 

「 サムライの時よりも暇ですね。こっち(ウィチタ)に来てからまだ一回しか練習してないですし。

昨日は夜にホテルの地下にあるプレイルームみたいなところで素振りと遊びでゲームをしました。 」

素振りをしているホテルのプレイルーム

サンディエゴからウィチタまで約27時間のドライブ、慣れない気候、限られた練習時間や直前までわからない試合スケジュール。環境は決して優しいものではない。

 

「 (練習が少ないので)バッティングの感覚が鈍りますね。なので自分で素振りだけでもするようにしてます。時差も思ったより大変です。夜なかなか寝られない。ただチームの雰囲気は良いです。受け入れてもらっている感じがしますね。まだ多少コミュニケーションしきれていない部分もありますけど。 」

 

しかしNBCワールドシリーズの舞台に立てるという期待は嫌でも気持ちを昂ぶらせる。

 

「 球場がとてもきれいですね。人工芝なので取りやすいし。NBCだと電光掲示板に名前が出るので、自分の名前を載せたいです。

 

まずは日本人代表として頑張っていこうと思います。試合に出たら自分の持ち味であるツーベースを沢山打てるようにしたいです。右中間、左中間にカーンと打てたら嬉しいです。ホームランはやっぱり体格的にはアメリカ人に勝てないと思うので、自分の足を生かして尚且つ長打力を見せることのできるツーベース、スリーベースが自分の理想とするバッティングです。 」

「 いつも通り無心でただ野球を楽しみたいと思います。今までにこんな大舞台に立ったことはないので、驚きと同時に喜びを感じています。補強選手ですが、ここまで自分が成長したのを実感できて、これからの野球人生がさらに楽しみになりました。 」

 

大久保は来学期もマーセッドカレッジの野球部で活動する予定。卒業後も野球ができる環境があればいつでも飛び出していく準備はできている。

 

「 もちろん将来はプロ野球に進んで行きたいです。アメリカで野球をやっているからにはやりその最高峰であるMLBで活躍したいです。その中でも自分のように体の小さい選手で尚且つ外国人が活躍している姿を見せて、自分のように小さい選手や外国人選手に夢を与えたいです。 」

大久保へSan Diego Force GMよりコメント。

 

San Diego Forceはアラスカ州代表Kenai Oilers(今ワールドシリーズ2位)相手に2回戦で惜敗。大久保も2番センターでスターティングメンバーに入ったが、3打席1三振と振るわなかった。続く3回戦もアイオワ州代表Clarinda A's相手に0-2で惜敗。NBCからマーセッドカレッジに戻り、下記のように語った。

NBC参加後の感想

サムライでのサマーリーグについて。

この2カ月間は、すごく安定しました。先輩もとても良い方で野球の成績も残せたので、もう一度やりたい夏となりました。終わってしまったのが、心惜しいです。
個人として別のチームでNBCのワールドシリーズに出場が決まり、大きな舞台に行けるのはとてもうれしかったです。しかし、出来ればサムライのチームで行きたかったです。

NBCの感想
心 残りになる大会でした。環境の違いにうまく対応できませんでした。グラウンドは全面人工芝でバッターボックスは芝でしたし、気候もとても暑かったです。ま た、試合の日程も厳しくて、夜中にも試合が行われるのでコンディションの調整が難しかったです。試合にはでましたが、結果が出せなく悔しかったです。

NBC では、アメリカ人の潜在能力の高さを感じました。体の大きさや使い方が違いますし、ほとんどの投手が90マイル以上を放り、野手のレベルも非常に高く、 ワールドシリーズだけあって非常にレベルが高かったです。その中で、結果を出して楽しくプレーをしたかったです。この大舞台でプレーすることで、自分の弱 さが実感して、良い経験となりました。この経験を糧に必ずプロに行けるように活躍していきたいです。

今後の目標
自分のように小さい選手でもプロで活躍して、大リーグでも活躍できるようになりたいです。これから、もっと練習を積んでレベルを上げ続けていきたいです。これから、マー セッド・カレッジの野球部に戻りますが、サマーリーグの成績のように結果を残してレギュラーを取って、来年のドラフトに掛かるように活躍できるように精進 していきます。

アメリカのサマーリーグに参加したい人に向けて
アメリカの野球を体験できます。そこでは、アメリカ人と日本人とのプレースタイルの違いがわかります。高いレベルでの経験は絶対に、今後の野球人生のプラスになると思います。

サムライGMからのコメント

 

カンザスでNBCワールドシリーズに補強選手として参加した大久保のチームが敗退した。

1勝だけで終わってしまったが、初の日本人選手としてNBCワールドに参加させてもらった大久保の経験

は個人の域を超えて大きな意味合いを”サムライ”持ち帰ってきてくれた。

サムライ執行部が得たものも、無形である分大きさの規模を想像するのは難しい。

チームメートの”想い”も同時にカンザスまで運んでくれた大久保の参加意義は非常に大きなものだった。

大舞台で結果を残せなかったが、初の日本人選手の参加と言う事実を刻んだ事は紛れもない事実だった。

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