2015年

7月

10日

FIFA女子W杯2015決勝にみる米国代表の勝利の要因

 7月5日にファイナルを迎えた2015年FIFA女子ワールドカップは、3度目の優勝を狙う米国代表が、連覇に挑んだ日本代表を5-2で下し、4大会ぶりとなるW杯を獲得しました。米国ではおよそ2千500万人の視聴者が固唾を呑んで見守ったこのファイナルも、結果的に下馬評通りともいえる米国代表の快勝で幕を閉じる形となりました。4年前はPK戦までもつれ込んだ両国の戦いですが、今回、なぜこれほどまでに大差がついてしまったのでしょうか。米国の勝利の要因を考察しました。


①日本の意表をついた見事なサインプレー

 この試合でのキープレーとなったのが、米国代表がこの日に挙げた5得点のうち、3得点を生んだセットプレーです。もともと身体能力の高さで勝る米国代表がセットプレーを駆使して得点を狙ってくることは、日本代表も想定は出来ていたでしょう。しかし、米国代表はそこを逆手に取ったのです。開始3分に生まれたゴールでは、米国代表は長身選手をゴール付近に集中させ、日本代表ディフェンス陣の注意を引くことで、PKマーク付近に広大なスペースを作り、エースのロイド選手がフリーでパスを受けシュートに持ち込むことのできる状況を作りました。5分に挙げた得点も同じく、こちらもあえて空中戦を外したサインプレーによる得点でした。もともとフィジカルで勝る米国代表が、技術と小技で対抗してくる日本代表に対して、あえてサインプレーといった小技で奇襲をかけたのです。この大一番でサインプレーが見事に得点へと結びついたことは、米国代表にとっては多少のラッキーが重なったとも言えるでしょう。もともとのフィジカルの強さに頭脳プレーも加わった米国代表。日本代表も技術力の高さのみでは米国代表に太刀打ちできない時代となりました。

引用元:Dailymotion.com
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②理想的な試合展開に持ち込む勝負強さと采配力

 米国代表にとって、開始16分までに4得点を奪えたことは、思ってもみなかった好展開だったことと思います。このように開始早々に生まれる得点というのは、その実力以上に、試合当日までの準備期間が関係してくるものですので、開始5分の2-0の時点では、さほど両ベンチ・選手ともに、気の緩みや不安は生じていなかったのではないでしょうか。あまりに早い時間帯での得点だったため、むしろ米国代表の方が、その後の試合展開に不安を抱いていたと推測します。しかし、そんな状況でも緩和する事なく、立て続けに得点を重ねていけた米国代表には、試合感の冴えの良さというのか、勝利癖がついている証というのか、さすが長年世界のトップに君臨し続けるだけのチームであると感じました。

 

 対する日本代表は、最も気の抜けない0-2の状況で立て直すことができず、結果として、致命的な4失点目を浴びる形となってしまいました。米国代表から4失点を喫した後に、センターバックの岩清水選手とボランチの澤選手を交代し、ボランチに位置していた坂口選手をセンターバックに下げた点を見ると、ビハインドの状況での効果的なシステムを兼ね備えていなかったようにも思います。また、日本代表が後半15分までに3名の交代枠を全て使い切っていた状況に比べ、米国代表は後半15分まで3名の交代枠を全て残し、5-2とリードした展開でフレッシュなディフェンダー2名を投入し、試合終了までその堅守を維持しました。試合終了まで残り11分の状況では、今回のW杯をラストと宣言していたアビー・ワンバック選手を投入し、米国女子サッカーの歴史を築いたワンバック選手の有終の美を飾ることにも成功しています。首脳陣の采配力の高さに加え、それを実行し理想的な展開で決着を付けた米国代表には、真の強さを感じました。

引用元:Q13fox.com
引用元:Q13fox.com

③世界屈指の好プレーヤーが集結する米国大学サッカー界で積んだ経験と自信

 この日の米国代表のスターティングメンバー11名のうち9名は、過去に米国大学を卒業しており、その際には米国大学トップリーグでのプレーも経験しています。みなさんもご存知の通り、今や米国の学術機関の評判の高さは世界でも秀でており、その証拠に、2015年度の世界大学ランキングトップ10校のうち、1位を含む8校は米国大学がノミネートされています(参照:Times Higher Education)。そんな大学から全額免除のスポーツ奨学金オファーを提示された時のことを考えてみて下さい。サッカーの実力で世界一を誇り、なおかつ学術的評価でも世界一である米国大学からのオファーともなれば、断る理由は見当たりません。これにより、世界で活躍するユース選手達は米国大学へと進学するようになっていき、それにより米国自体のスポーツ能力も強化されていったのです。この日の決勝戦を見ても、米国代表の14番Morgan Brian選手や19番Julie Johnston選手はともに大学卒で23歳の若い選手ですが、決して物怖じしている様子はなく、むしろ堂々とたプレーが印象的でした。大学時代の厳しい競争社会での経験により培った自信こそ、米国代表の強さの支えとなっているに違いありません。

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