2022年W杯を米国が開催すべき理由

Photo: screamer.deadspin.com
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 2010年12月2日、中東・西アジアに位置するカタールの地は、世界中が注目するビッグイベントの開催国決定を受け、歓喜に湧いていました。そうです、2022年FIFA W杯カタール大会の実現です。日本、韓国、オーストラリア、そして米国がそれぞれ開催地に名乗りを挙げた2022年のワールドカップは、これが初となるカタールでの開催で決まりました。しかし、これに納得のいかない様子を見せるのが、ここ米国です。「2022年のW杯は米国で開催すべき」と断固として言い張るその米国の根拠に迫ります。

 米国が最も批判的になっている点は、そのカタールの気候です。夏の時期には最高54度にまで達するその気候は、90分間走り続けるサッカーには不向といえます。もちろん、FIFAもこのカタールの気候を見てみぬふりをしている訳ではなく、既に解決策を考案しています。その解決策といのが、2022年W杯の冬季開催です。確かに、冬は20度以下にまで落ちるカタールですので、わざわざ熱い時期に開催するではなく、涼しくなる冬の時期に開催するという案を出すのは自然な考えでも、一見、問題解決なようにも思います。

Photo: GCCA
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 しかし、この軽率なFIFAのW杯冬季開催案に強い批判を示すのが、各国のサッカーリーグです。イギリスの名門リーグ「プレミアリーグ」は、毎年8月から5月に渡ってシーズンが開催され、冬季はシーズン真っ只中を迎えます。これはプレミアリーグのみならず、ドイツのブンデスリーガや、イタリアのセリエAでも同じことが言えます。ここ米国のトップリーグ、メジャー・リーグ・サッカー(MLS)では、冬季は最も重要かつ盛り上がりを魅せるプレーオフの時期を迎え、リーグとしても、チームとしても、この時期にいくら代表戦といえど、人気主力選手達を欠いてしまうのは、リーグの経営的にもチームの戦力的にも大きな痛手となります。

Whoateallthepies.tv
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かつて中田英寿選手が所属していたイタリアのセリエAも冬はシーズン真っ只中を迎える。Photo: Pinterest
かつて中田英寿選手が所属していたイタリアのセリエAも冬はシーズン真っ只中を迎える。Photo: Pinterest

 米国が批判している点は気候の問題だけに過ぎません。W杯開催に向けて12のスタジアムの用意をFIFAから要求されているカタールですが、財政面の問題から、9つのスタジアムしか建設できないとの訴えを起こしているそうです。さらに、そのスタジアム建設を強いられているのがSlave laborと呼ばれる奴隷たちということもあり、そのカタールの現状が疑問視されるのも無理はありません。

 こうなってくると気になるのが、仮にカタールW杯が取り消された場合の次なる候補地です。FIFAがW杯の開催地を決める上で採用しているルールに、「ローテーション・ポリシー」というものがあり、向こう2大会は、同じ大陸内の国での開催がされぬよう、規制が掛けられています(例えば、2014年W杯の開催国となったブラジルが位置する南アメリカ大陸内の国々は、2018年と2022年のW杯開催地の対象外となる。)。2018年W杯はロシアでの開催となることから、これは、2022年に南アフリカ大陸とユーラシア大陸の国が候補地とされない事を意味します。

 

 そこで浮上するのが2022年米国W杯開催です。米国は、1994年に初のW杯開催をしており、その時は、およそ3億6千万人もの観客が試合に足を運んだとされています。1試合あたりの平均動員観客数は69,000人を記録し、この記録は現在も歴代最高記録として残っています(ちなみに、1994年の米国W杯での参加国チームは24チーム。これが1998年のフランス大会からは、参加国チームは32チームに拡大している)。また、米国が誇る大規模なスタジアムの数々も、W杯開催を目指す米国にとっては大きなアドバンテージとなります。カタールのスタジアムの平均収容人数が44,500であるのに対し、米国には最低でも80,000人の観客を収容できるスタジアムが7つも存在します。もちろん、莫大な富を誇る米国では、新スタジアムの建設時に直面する財政面での問題も、特に心配はないでしょう。

Photo: forum.nationstate.net
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Photo: US Soccer.com
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 2022年のカタール開催を推していたFIFAのブラッター会長は、先日の汚職問題の責任を取り既に辞任を発表しています。FIFAは1982年、財政面の問題があるとし、既に決定していた1986年のW杯コロンビア大会を取り消し、メキシコ大会へと変更をしている事実もあり、一度決まったワールドカップの開催地が変更となるケースも十分考えられます。米国が世界のサッカー市場でイニシアティブを握りつつあるのが理解できるのではないでしょうか。

参考:http://thesportsquotient.com/soccer/2015/8/25/making-the-case-usa-2022-world-cup

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