PDL特集。実はこんなに凄かった!

 日系企業が参入を果たした米国4部PDLとは一体何なのか。そう思っている読者も多いのではないでしょうか。今回はそんなPDLの歴史から参加選手、さらに各クラブのオーナー企業など、PDLが米国でどれほど重要視されているかを説明していきます。

 

1995年から続く確かな歴史

 

 このPDLが創設されたのは1995年のことでした。米国の大学サッカーは9月に公式戦シーズンを迎えますが、そのシーズン開幕に向けた重要な準備期間となる6月から8月にかけては大学が夏休みを迎えることから、NCAA規定などで部活も活動を一切行いません。もちろん大学生たちからは、夏の期間もハイレベルな環境でサッカーがしたいという声は挙がっていました。そんな大学生たちの声に耳を傾け、立ち上がったのが、今や大人気の3部USL PROや女子2部などのサッカーリーグを運営するUnited Soccer League(以下USL)だったのです。USLは大学生のサマーリーグとなるPDLを創設することで、将来有望な大学生に夏季にもハイレベルなサッカーができる環境を提供し、大学年代のサッカーレベルを著しく発展させていきました。

 

 PDLが創設された1995年にリーグに加盟していたチームは27チームでした。初年度にして27ものチームが加盟していた点からも、その需要の高さは伺えます。ここからリーグは順調に発展を遂げ、2015年現在では全米から63ものチームがリーグに加盟しています。2016年には新たに3つの新クラブが新規参入を果たす予定です。

インディアナ州から新たにPDLに参入するKOKOMO
インディアナ州から新たにPDLに参入するKOKOMO

大学トップレベルの選手が参加。MLSが熱い視線を送るリーグ。

 

 PDLに参加する選手の大半は将来を有望しされる現役の大学生です。クラブによっても異なりますが、NCAA ディビジョン1大学に所属する主力選手をメインに、チームを構成するクラブも多くあります。そのため、リーグのレベルは非常に高く、2015年次の1MLSスーパードラフトでは、ドラフトされた選手の70%以上がPDLを経ていたという結果が出ています。若干22歳にして、英国プレミアリーグの名門トッテナムに入団した米国代表のデアンドレ・イェドリンや、現在、米大学サッカー界で最も注目されているジョーダン・モリス選手も、かつてはPDLに所属するシアトル・サンダーズFCU23でプレーしています。チーム強化を図るMLSクラブが真っ先にスカウトを送るリーグとしても、PDLは存在しています。

クラブオーナーには名だたる企業がずらり。経営のプロ達がホレ込むPDLのブランド力。


 PDLを運営するUSLは、3USL4PDLを筆頭に、米国全土で大規模なフランチャイズビジネスを展開する組織です。USLは、米国サッカーのトップに君臨するMLSとパートナーシップを締結したり、現役大学生や、ローカルに潜むサッカーファン達が必要とするリーグを世に提供したりすることで、人々から必要とされる存在へと成長し、そのブランド価値を確固たるものとして築きあげてきました。このブランド価値は年々上増しており、2015年時点では、4PDLに加盟を希望するクラブは、加盟金としてUSL500万円ー1,500万円を支払わなければなりません。さらに、USLのフランチャイズ購入にはこの加盟金の支払いの他、米国法人であること、スポーツマネジメント業務で3〜5年以上の優秀な実績を積んでいることなどが要求されます。

資本力も然ることながら、米国での実績や経験、経営理念など、その道に精通したプロフェッショナルなビジネススキルが審査の対象に大きく関わってきます。確固たるリーグのブランド力を保つUSLの敷居は高く、更なる発展を目指すリーグの加盟クラブへの審査には妥協を許しません。

 

 ちなみにこの加盟金は、3USLとなると2億円にも及びます。クラブはこれほどの加盟金と引き換えに、今後益々の発展が期待されるリーグのブランド力を手に入れるのです。

MLS フランチャイズ加盟金 PDL USL サッカー アメリカサッカーリーグ ブランド価値

世界の経営のプロ達が注目するPDLですが、投資、運営するオーナー達とは一体どのような人/組織なのか。特筆すべきクラブオーナー達を以下にまとめました。

デイトン・ダッチ・ライオンズ

所在地:オハイオ州

創設:2009

オーナー:エリック・タマー氏(元オランダのプロサッカー選手)

支援組織:エールディビジ(オランダ一部プロサッカーリーグ)

ウェブサイト:http://ddlfc.com/

Photo: http://www.dutchnews.nl/
Photo: http://www.dutchnews.nl/

 オハイオ州に拠点を置くデイトン・ダッチ・ライオンズのオーナーを務めるのは、1990年代にオランダのプロサッカー選手としてアヤックスやAZなどの名門クラブを渡り歩いた、エリック・タマー氏です。エリック氏がオランダサッカー界で名を馳せていることもあり、クラブはオランダの1部プロサッカーリーグ「エールディビジ」の協力な支援を受けています。この「エールディビジ」は、1959年から続く名門リーグであり、このように海外の1部サッカーリーグから絶対的な支援を受けるクラブは、PDLにはこのデイトン・ダッチ・ライオンズぐらいです

デス・モインズ・メナース

所在地:アイオワ州

創設:1994

オーナー:カイル・クラウス氏(Kum & Go 代表取締役)

ウェブサイト:http://www.menacesoccer.com/

Photo: http://waltswords.com/
Photo: http://waltswords.com/

 アイオワ州に本拠地を置くデス・モインズ・メナスのオーナーを務めるのは、アイオワ州を拠点に全米にコンビニエンスストアチェーン店を展開する「Kum & Go」の代表取締役を務めるカイル・クラウス氏です。カイル氏が代表を務めるKum & Goは、1959年に創設されたコンビニエンスストアで、今や全米11の州に400以上の店舗を持ち、約4,000人もの従業員とともに2,000億円以上の収益を生む大手企業です。クラブはKum & Goの支援のもと、男子チームのみならず、米国女子2部サッカーリーグの「WPSLWomen's Premier Soccer League)」に女子チームも持ちます。

ミッドランド・オデッサ・ソッカーズ

所在地:テキサス州

創設:2008

オーナー:ミルス・プレンティス

ウェブサイト:http://www.sockersfc.org/

Photo: http://www.milb.com/
Photo: http://www.milb.com/

 テキサス州に本拠地を置くミッドランド・オデッサ・ソッカーズのオーナーを務めるのは、ニューヨーク市を拠点に弁護士活動を行うミルス・プレンティス氏です。ミルス氏は現在、同クラブのオーナーを務める他、メジャーリーグ球団デトロイト・タイガースの傘下の「コネチカット・タイガーズ」のオーナーにも就任しています。

 

 ミルス氏がサッカークラブの経営に目を向けたのはここ最近の事で、過去には、MLBに所属するオークランド・アスレチックスの傘下チームであるミッドランド・ロックハウンズを購入したり(1989年)、MLBに所属するカンザス・シティ・ロイヤルズやミルウォーキー・ブルワーズ、更にシンシナティ・レッズやボストン・レッドソックスなどの買収にも名乗りを上げ、その名を轟かせましたこのうちカンザス・シティ・ロイヤルズの買収に名乗りをあげた際、ミルス氏は全オーナー候補者の中で最高値となる120億円の買収額を用意したものの、MLBがオーナーに要求する純資産額に、当時のミルス氏の純資産額が達してなかったことが原因となり、惜しくもMLBチームの買収には至りませんでした。いずれにせよ、120億円を用意できるほどの手腕である事に違いはありません。

IMGアカデミー・ブランデントン

所在地:フロリダ州

オーナー:IMGアカデミー


 IMGアカデミー・ブラデントンのオーナーを務めるのは、フロリダ州ブラデントンに位置する世界最大級のスポーツ選手養成施設「IMG アカデミー」です。1978年に設立されたこのIMGアカデミーには、世界約80カ国から約900人もの生徒が集まり、それぞれが抱くスポーツに対する夢に向かって、日々トレーニングに励んでいます。IMGアカデミーは、錦織圭選手やシャラポア選手などといった世界を代表するテニスプレーヤー、ゴルフではLPGAの花形選手ポーラークレーマーや宮里美香選手を輩出したとしても有名です。世界のトッププレーヤー養成施設であるIMGアカデミーも、プロサッカー選手育成方法の一つとして、PDLに参入しています。

バーミンガム・ドラゴンズFC

所在地:カリフォルニア州

創設:2014

オーナー:デビッド・エバースマン、ニック・スウィンマン

ウェブサイト:http://www.burlingamedragons.com/


 カリフォルニア州バーリンガムに本拠地を置くバーリンガム・ドラゴンズFCのオーナーを務めるのは、フェイスブックの初代最高財務責任者であるデビット・エバースマンと、オンラインアパレル会社Zappos.comCEOであるニック・スウィンマンです。エバースマン氏が初代財務最高責任者を務めたフェイスブックは、時代を代表するSNSです。今やその名は世界で知らない人がいないほどまでに成長し、2014年次にはその純利益が2,000億円以上にものぼった、世界のトップ企業です。

 

 エバースマン氏と共に共同オーナーを務めるスウィンマン氏がCEOを務めるZappon.comは、1999年にラスベガス設立された、オンラインアパレル会社です。2008年には年間の売上高が1,000億円を記録し、2010年には米ビジネス雑誌「フォーチュン」が選ぶ、働きがいのある世界の企業100で、見事15位にノミネートされました。Zappos.comは、同業他社である、あの世界のAmazon.comに、「唯一恐れる会社」と言わすまでとなり、その結果、2009年には、Amazon820億円を費やしZappos.comを買収しました。世界のトップでビジネスを展開する2人の経営者ですら、PDLには確かなブランド力を見出しています。

提携機関

アメリカ総合留学