世界に照準を定める日本からの若きサムライがゼストFCに加入。Jリーグではなくアメリカを選択した彼が胸に秘める想いとは。

 

「日本人としての魅力をゼストFCに関わる多くの方々に伝えたい。」

 

 2017年からサンディエゴゼストFC(米国4部)に加入する中山知之選手は、アメリカに掛ける想いを熱烈に語った。愛知県で生まれ、中学、高校時代をJFAアカデミー福島で過ごし、神奈川大学に進学した中山選手。大学4年次には、神奈川県代表として天皇杯全日本サッカー大会に出場。1回戦では、J2に所属する町田ゼルビアから大金星をあげた。その活躍もあり、J2とJ3を含め計4つのクラブから練習参加の打診を受けたが、彼の選択肢の中にJリーグという文字はなく、全て断った。

 

「大学3年のときからアメリカへの道を考えていました。近年成長が著しい1部メジャーリーグサッカーで語学力を身に付けながら実力を証明し、ゆくゆくはプレミアリーグでのプレーを目指しています。また、セカンドキャリアの充実に向け、世界最先端にあるアメリカのスポーツビジネスを学ぶことも、目標の一つに定めています。

 

 中学時代には、2年連続で世代別代表に選ばれた経験を持つ中山選手。中学3年次には、中学年代の日本一を決めるJFAプレミアカップの全国大会に出場。豊富な運動量とボール奪取能力に優れた舵取り役が魅せるプレーは、彼が尊敬してやまないエンゴロ・カンテ(フランス代表、チェルシーFC所属MF)を彷彿とさせる。好きなクラブはマンチェスター・シティ。人としてお手本としているのは本田圭佑氏(ACミラン所属)。22歳の彼の意識は、既に世界に向いている。

 

 アメリカサッカーに対するイメージは、フィジカルの強さとタフさと語る。リーグの仕組みやそれぞれのクラブ事情はほとんど把握しており、下調べから妥協を許さない。そこには一人の男の存在も大きく影響しているという。

 

「トロントFC(メジャーリーグサッカー)に所属する遠藤翼選手は、中学・高校時代に5年間共にプレーした元チームメートであり、アメリカサッカーの仕組みやクラブの事情については、彼からよく話を聞いています。彼が日本に帰国した際には会食し、メジャーリーグサッカーについての話を詳しく聞きました。」

 

  中山選手が加入するサンディエゴゼストFCは、2016年にUSL PDLに加盟した新鋭クラブ。初年度となった2016年シーズンは、リーグ戦を8勝1敗5分の2位で終え、プレーオフに進出。PDLの激戦区とされる西海岸地区では、シアトル・サンダーズやポートランド・ティンバーズ(それぞれメジャーリーグサッカーに所属)の下部組織を上回る3位にランクライン(西海岸地区には19チームが所属)。ストライカーとして活躍したマシュー・ハーロウ・パオネッサ選手はフェニックス・ライジングFC(2部ユナイテッド・サッカーリーグ)への加入が決まり、チームの支柱として奮闘したエリック・ホルト選手(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)は、レアル・ソルト・レイク(メジャーリーグサッカー)やSVホルン(オーストリア2部)から加入の打診を受けている。クラブとしての歴史は浅いが、確かな実績を有する末頼もしいクラブだ。そんなゼストFCでの目標を、中山選手はこう語る。

 

「昨シーズンのゼストFCの成績を超えること、つまり、リーグ戦を首位で終えることが、クラブとしての最低限のノルマだと捉えています。そのなかで、必要不可欠な選手として試合に出場し続けることが、個人としての目標です。また、日本人としての魅力をゼストFCに関わる多くの方々に伝えること、そして、チームをより熱く強く戦え、周囲から尊敬されるような人間性を備えた集団に変革させることも、目標に掲げています。」

 

 サッカー選手としての魅力に加え、信頼に値する人間力を併せ持つ中山選手。個人的な目標達成を念頭に置きながらも、己のプレーを通してクラブの成長を志すその姿勢は、チームスポーツの象徴的な心構えといえる。世界にビジョンを向ける日本からの若きサムライが、サンディエゴの夏に欠かせないゼストとなるだろう。

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